SPSSでJADERデータを集計し、医療系発表資料用の分析表を作成した記録

業務改善ログ

2024年に、医療系の発表資料を作成するため、JADERデータを使った分析と取りまとめを行った。

JADERは、PMDAが公開している医薬品副作用データベースだ。副作用が疑われる症例報告をもとにしたデータであり、医薬品と有害事象の関係を考えるうえで参考になる。

ただし、報告件数が多いから危険、少ないから安全、という読み方はできない。使用患者数、報告されやすさ、重複、併用薬、症例背景など、さまざまな要素が影響するためだ。

今回の作業は、JADERを研究として深掘りするというより、発表資料で使えるように必要な観点でデータを整理し、集計表やグラフの形に落とし込むことが主な目的だった。

今回の作業範囲

作業の内容は、JADERデータの内容確認、分析対象となる薬剤・有害事象の絞り込み、SPSSで扱いやすい形へのデータ整理、件数集計・クロス集計・割合の算出、発表資料用の表・グラフの作成、結果の読み取りメモの作成だ。

分析ツールはSPSSを使用した。Excelでもある程度の集計はできるが、項目数が多く条件を切り替えながら集計する場合は、SPSSの方が作業の見通しを立てやすい。特に、クロス集計やカテゴリ別集計を繰り返す場面では、どの条件で集計したのかを残しやすい点が助かった。

JADERデータで最初に注意したこと

最初に気を付けたのは、JADERのデータを「そのまま比較に使えるデータ」と見なさないことだった。

JADERは副作用が疑われる症例報告を集めたデータであり、医薬品を使ったすべての患者を把握しているわけではない。報告件数が多くなる理由には、使用患者数が多い、注目されている薬剤で報告されやすい、同じ症例に複数の有害事象が登録されている、といったことが挙げられる。

このあたりを整理しないままグラフにすると、発表資料としては見やすくても、読み手に誤解を与える可能性がある。今回の取りまとめでは、「件数が多い=危険」と読める表現は避けた。

SPSSに取り込む前の整理

JADERのデータは、そのままSPSSに入れれば終わり、というものではなかった。分析対象にする項目を確認し、どの単位で集計するかを先に整理する必要があった。

特に迷ったのは、症例単位で見るのか、薬剤単位で見るのか、有害事象単位で見るのかという点だ。同じ症例に複数の薬剤や有害事象が紐づく場合があるため、集計単位を曖昧にしたまま作業すると件数の意味が分からなくなる。

作業前に、1行が何を表しているのか、症例番号をキーとして扱えるか、集計結果の件数は症例数なのか報告数なのか、発表資料ではどの粒度で見せるべきかを確認した。ここを先に決めておかないと、後から表やグラフを作ったときに説明が難しくなる。

SPSSで行った主な集計

主な集計は、対象薬剤ごとの報告件数、対象有害事象ごとの報告件数、年齢区分・性別・転帰別の集計、薬剤と有害事象のクロス集計、条件を絞ったサブグループ集計だ。

発表資料用の分析だったため、集計できる項目をすべて出すのではなく、説明に使えるものを選ぶ必要があった。全部出すと資料として逆に分かりにくくなる。そのため、まず全体像を見せ、次に対象薬剤・有害事象に絞り、必要に応じて背景情報を加え、最後に読み取り上の注意点を添える順番で整理した。

発表資料用に意識した見せ方

SPSSの出力表は確認用としては便利だが、そのままスライドに載せると情報量が多すぎる。発表資料では、表は必要な列だけに絞り、件数と割合の意味を明確にし、グラフは比較したい項目だけに限定した。

特に意識したのは、断定的な因果関係に見える表現を避けることと、注釈でJADERデータの性質を補足することだ。棒グラフにすると差が強調されるが、その差が本当に意味のある差なのかは別の問題である。グラフ化する場合でも、単純な順位付けに見えすぎないよう注意した。

苦労した点と得たこと

IT関連の業務に関する分析・統計は知見があったが、医療統計、SPSSの使い方も学習しながらの業務となった。分析をするまでについても簡単ではなかった。

さらに苦労したのは、分析そのものよりも結果の意味をどう説明するかだった。JADERのようなデータでは件数は出せる。しかしその件数をどう読むかは簡単ではない。

発表資料では限られたスライド数の中で説明する必要があり、注意点を省きすぎると単純な安全性比較のように見えてしまう。そのため、主な結果は絞り、補足資料として集計表を残し、スライド上には注釈を入れ、「傾向を確認するための集計」として位置づけるバランスを取った。

今回の作業で感じたのは、集計作業そのものよりも前提条件の整理が重要だということだ。どの単位で数えているのか、何を比較しているのか、その結果から何を言ってよいのかを整理しないと、発表資料としては危ういものになる。ツールよりも、最初の設計の方が重要だった。

まとめ

JADERデータの分析取りまとめでは、SPSSを使って発表資料用の集計表やグラフを作成した。重要だったのはSPSSの操作そのものではなく、JADERデータの性質を踏まえて結果をどう見せるかだった。

JADERは医薬品と有害事象の関係を考えるうえで有用なデータだが、単純な件数比較で安全性を判断できるものではない。その前提を崩さずに発表資料として整理する。今回の作業は、公開データを使った分析結果を誤解されにくい資料に整えるための実務だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました