2022年、クラウドソーシング経由で、不動産業者向けの顧客管理ツール開発を担当しました。
当時、私は不動産業務についてほとんど知識がありませんでしたが、実際にお客様とWeb会議を
重ねる中で、これまでの知見も生かし、「必要とされる機能を利用しやすい形で」を目指して
お客様と共にシステム化を進めました。
結果として、この案件は1次開発から4次開発まで続き、段階的に改善を重ねる形になりました。
今回は、その流れを振り返ってみます。
なぜExcelから始めたのか
最初に検討したのは、「どこまでシステム化するべきか」でした。
一般的には、最初からWebシステムやクラウドサービスを想像しがちです。
ただ、実際には、
- 利用人数がそこまで多くない
- Excel運用に慣れている
- ITリテラシーに差がある
- まず業務整理が必要
という状況でした。
そのため、最初から大きなシステムを作るのではなく、
「今の業務を壊さずに改善する」
ことを優先し、Excelベースで進めることにしました。
1次開発:まずは業務を理解する
最初の開発では、
- 不動産業者をマスタ管理
- 業者ごとに案内した物件情報を管理
- PDF資料を添付保存
といった基本機能を実装しました。
この時点では、不動産業界特有の業務知識がほとんどありませんでした。
そのため、実装よりも先に、
- どんな流れで業務が進むのか
- 誰が何を見ているのか
- どこで困っているのか
をWeb会議で丁寧に確認することを重視しました。
実際、小規模業務改善では「技術」より「業務理解」の方が重要だと感じています。

2次開発:部署ごとの運用と集計機能
1次開発したツールは、部署ごとに配布して利用する形になりました。
ただ、運用が始まると、
「部署ごとのデータをまとめたい」
という要望が出てきました。
そこで2次開発では、
- 部署ごとのデータをマージする機能
- 成績グラフの自動生成
- VPSサーバーによる共有環境
を追加しました。
特に印象的だったのは、「分析したい」というニーズが徐々に強くなっていったことです。
単に記録するだけでなく、
- どの部署が成果を出しているか
- どの業者との取引が多いか
を見たいという要望が増えていきました。
現場で実際に使われ始めると、必要な機能が具体化していくのを感じました。

3次開発:Accessへの移行
運用が進むにつれて、管理する業者数も増えていきました。
その結果、Excelだけでは扱いづらくなってきたため、データ管理部分をAccessへ移行しました。
ただし、入力画面はExcelを維持しました。
これは、
「利用者の使用感を変えない」
ためです。
もし入力方法まで大きく変えてしまうと、現場負荷が増えてしまいます。
小規模業務改善では、
「技術的に正しいか」
だけでなく、
「現場で使い続けられるか」
が非常に重要だと感じています。
また、2次開発で追加したグラフ機能も強化し、さまざまな軸で実績を確認できるよう改善しました。
ちなみにですが、Accessのライセンスは不要になる点も、この形態とした理由の一つです。

4次開発:OCRへの挑戦
4次開発では、新たにPDFで送られてくる物件情報の電子化に挑戦しました。
Pythonを利用し、OCR処理によって情報を読み取る仕組みを作成しました。
ただ、実際に試してみると、100%正確に読み取ることはできませんでした。
帳票形式の違いや文字品質の問題もあり、完全自動化には限界がありました。
そこで最終的には、
- OCR結果を保存
- 元画像も保存
- 目視確認しやすいUIを用意
- 修正しやすい形にする
という方向へ切り替えました。
「完全自動化」ではなく、
「確認作業を減らす」
方向へ落とし込んだ形です。
今振り返っても、この判断は間違っていなかったと思っています。

小規模業務改善で大事だと感じたこと
この案件を通して感じたのは、
「最初から完璧を目指さない」
ことの重要性でした。
特に小規模事業では、
- 現場に合うか
- 続けられるか
- 壊れないか
- 修正しやすいか
の方が重要になる場面が多いです。
最初から大規模システムを作るのではなく、
- Excelから始める
- 必要に応じて拡張する
- 運用しながら改善する
という進め方は、今でも有効だと感じています。
おわりに
最近はAIや自動化の話題も増えていますが、
実際の現場では、
「どこまで自動化するか」
より、
「どうすれば現場で使い続けられるか」
の方が重要になることも多いです。
この案件は、自分にとっても「業務改善とは何か」を考えるきっかけになった案件でした。
今後も、現場運用を壊さない形の改善を意識していきたいと思っています。

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