はじめに
これまでの記事で紹介してきた
FILTER関数(抽出)/SORT関数(並べ替え)/UNIQUE関数(重複除去)/SEQUENCE関数(自動連番)。
この4つを組み合わせると、
Excelが自動でリストを作り、並べ替え、番号を振る——
つまり「完全自動のランキング表」が作れます。
毎回ソートやコピーをしていた作業が、
たった1つの数式で リアルタイム更新。
この記事では、その組み合わせテクニックを実例でわかりやすく解説します。
実現できること
この方法で、次のような自動表を作成できます👇
| 順位 | 支店名 | 売上 |
|---|---|---|
| 1 | 東京 | 200 |
| 2 | 大阪 | 180 |
| 3 | 名古屋 | 150 |
- 元データが更新されると自動で順位が変動
- 重複削除・並べ替え・連番付けも関数のみで実現
- VBAもマクロも不要
ステップ①:元データを準備
| A列(支店) | B列(売上) |
|---|---|
| 東京 | 200 |
| 大阪 | 180 |
| 名古屋 | 150 |
| 東京 | 100 |
| 大阪 | 90 |
支店ごとの売上データが入力された表を用意します。
ここから「支店別の合計売上ランキング」を自動で作ります。
ステップ②:重複を除去(UNIQUE)
まずは重複のない支店リストを作成します。
=UNIQUE(A2:A6)
→ 結果:
東京
大阪
名古屋
この時点で「支店の一覧」を動的に生成できました。
ステップ③:支店ごとの合計を計算
次に、それぞれの支店の売上合計を求めます。SUMIFを使ってUNIQUEのリストと連動させましょう。
=SUMIF(A2:A6, D2:D4, B2:B6)
| D列(支店) | E列(合計) |
|---|---|
| 東京 | 300 |
| 大阪 | 270 |
| 名古屋 | 150 |
→ UNIQUEで生成されたリストに対して自動で合計が紐づきます。
ステップ④:SORTでランキング順に並べ替え
次に、合計値を降順(大きい順)に並べ替えます。
=SORT(D2:E4, 2, -1)
| 支店 | 合計 |
|---|---|
| 東京 | 300 |
| 大阪 | 270 |
| 名古屋 | 150 |
→ 売上が高い順に並び替えられました。
ステップ⑤:SEQUENCEで順位を自動生成
最後に順位を自動で付けましょう。
=SEQUENCE(ROWS(F2:G4))
→ 1, 2, 3 … と自動で連番を出力。
これを組み合わせて最終表を完成させます👇
=HSTACK(SEQUENCE(ROWS(F2:G4)), SORT(D2:E4, 2, -1))
| 順位 | 支店 | 合計 |
|---|---|---|
| 1 | 東京 | 300 |
| 2 | 大阪 | 270 |
| 3 | 名古屋 | 150 |
完成!
- UNIQUE:重複除去
- SUMIF:合計計算
- SORT:並び替え
- SEQUENCE:自動順位付け
ステップ⑥:条件抽出を追加(FILTERとの連携)
特定の地域だけ抽出してランキングを作ることも可能です。
=HSTACK(
SEQUENCE(ROWS(FILTER(A2:C100, A2:A100="東日本"))),
SORT(FILTER(A2:C100, A2:A100="東日本"), 3, -1)
)
→ 「東日本エリアのみのランキング」を自動生成。
FILTERを使うことで、特定条件のランキングをリアルタイムで更新できます。
応用:動的リスト+連動ドロップダウン
さらに、UNIQUEで作ったリストを
ドロップダウンリスト(データ検証) に設定すれば、
選択した支店名で自動的に抽出・ランキングが変わる“連動型レポート”も構築可能です。
=FILTER(A2:C100, A2:A100=F1)
(F1に選択した支店名が入力されている状態)
実務での活用例
- 支店・担当者別の 売上ランキング表
- アンケート結果の 人気項目ランキング
- 在庫やアクセス数の 上位・下位リスト自動化
- 部署ごとの 最新成績一覧
Excelを「集計ツール」から「自動更新レポート」に変える第一歩です。
まとめ
- UNIQUE:重複除去
- SUMIF/FILTER:条件抽出・集計
- SORT:並び替え
- SEQUENCE:順位付け
この4つを組み合わせることで、
「元データが変わるたびに自動更新される動的ランキング表」が完成します。
VBAもマクロも不要。
関数だけでExcelをリアルタイム分析ツールに進化させましょう。

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