はじめに
Excelでデータを並べ替えるとき、
多くの人が「データ」タブの [並べ替え]ボタン を使っていると思います。
でも、その方法だと――
- データを追加すると再度手動で並べ替えが必要
- 一度並べ替えたら元の順序に戻しにくい
- 別シートに並び替え結果を表示したいときに面倒
そんな悩みを解決してくれるのが、
SORT関数(ソート関数) です。
FILTER関数と同じく 動的配列関数 の1つで、
条件を指定しておけば、データが増えても自動で並び替えを反映します。
SORT関数とは?
書式
=SORT(配列, [並べ替えの基準列], [順序], [並べ替えの方向])
引数の意味
| 引数 | 内容 |
|---|---|
| 配列 | 並べ替え対象の範囲(例:A2:C100) |
| 並べ替えの基準列 | どの列を基準に並べ替えるか(1=1列目) |
| 順序 | 1=昇順、-1=降順 |
| 並べ替えの方向 | 0=行方向、1=列方向(通常は省略でOK) |
基本例
| A列(支店) | B列(売上) |
|---|---|
| 東京 | 120 |
| 名古屋 | 80 |
| 大阪 | 100 |
=SORT(A2:B4, 2, -1)
→ 結果:
| 支店 | 売上 |
|---|---|
| 東京 | 120 |
| 大阪 | 100 |
| 名古屋 | 80 |
ポイント
- 第2列(売上)を基準に降順(-1)で並べ替え
- 元データを壊さず別範囲に表示できる
FILTER関数との違い
| 比較項目 | FILTER関数 | SORT関数 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 条件で抽出 | 並び替え |
| 出力範囲 | 条件に一致したデータ | 並び替えた全データ |
| 更新 | 自動反映 | 自動反映 |
| 組み合わせ | SORT(FILTER(…)) | よく使われる |
FILTERは「データを選ぶ」、
SORTは「並び替える」関数。
この2つを組み合わせると、抽出→並べ替えが完全自動化できます。
応用①:昇順・降順を切り替える
=SORT(A2:B10, 2, 1) '昇順
=SORT(A2:B10, 2, -1) '降順
数値でも文字でもOK。
並べ替え列を切り替えれば簡単に動作を変更できます。
応用②:複数列で並べ替える
例えば、
- 売上を降順
- 同じ売上なら支店名を昇順
というような複数条件の並べ替えも可能です。
=SORT(A2:C10, {2,1}, {-1,1})
ポイント
- 並べ替え基準を
{}で複数指定 - 第1要素が第1優先、第2要素が第2優先
応用③:FILTER関数と組み合わせて動的並べ替え
=SORT(FILTER(A2:C10, A2:A10="東京"), 3, -1)
→ 「東京支店のデータを抽出して売上順に並べ替え」
FILTER+SORTの組み合わせは、
営業別・商品別などの自動ランキング表に最適です。
応用④:名前順や日付順に自動整列
| A列(名前) | B列(日付) |
|---|---|
| 田中 | 2025/10/10 |
| 鈴木 | 2025/10/05 |
| 佐藤 | 2025/10/15 |
=SORT(A2:B4, 2, 1)
→ 日付の昇順で並べ替え。
「常に最新順」「古い順」など自動で並べ替えられます。
応用⑤:SORTBY関数との違い
SORTと似た関数に SORTBY があります。
| 関数 | 主な違い | 例 |
|---|---|---|
| SORT | 並べ替え基準が範囲内の列番号 | =SORT(A2:C10, 2, -1) |
| SORTBY | 並べ替え基準が範囲外でもOK | =SORTBY(A2:C10, D2:D10, -1) |
SORTBYは、別列にある基準で並べ替えたいときに使います。
実務での活用シーン
- 売上・得点などのランキング作成
- 日付の最新順ソート(毎日の報告書整理など)
- FILTER関数と組み合わせて部署別ランキング
- UNIQUE関数と組み合わせて自動リスト整列
Power Queryのような自動化を関数だけで実現できるのがSORTの魅力です。
まとめ
- SORT関数 はデータを自動で昇順/降順に並べ替える関数
- 元データを壊さず、動的に結果を出せる
- 複数条件やFILTERとの組み合わせも簡単
- SORTBY関数 で別列基準の並べ替えも可能
FILTERが「抽出」、SORTが「整列」。
この2つを覚えるだけで、Excelの表操作が一気にスマートになります。
次回は「UNIQUE関数で重複を除いて一覧化する方法」をご紹介します!


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