はじめに
Excelで「条件に合うデータだけを抽出したい」とき、
多くの人はまず オートフィルター機能 を使います。
確かにオートフィルターでも目的は達成できますが、
作業を繰り返すうちに、こんな手間を感じたことはありませんか?
- 毎回フィルターをクリックして条件を選び直す
- 新しいデータを追加すると、もう一度設定が必要
- フィルター結果を別シートにコピーしたいのに、うまくいかない
つまりオートフィルターは、操作ごとに人の手が必要なんです。
一方で、FILTER関数 はこうした手動操作をすべて自動化できます。
| 比較項目 | オートフィルター | FILTER関数 |
|---|---|---|
| 抽出方法 | 手動操作(クリックで条件指定) | 関数で自動抽出 |
| 更新 | データが増えたら再設定が必要 | 自動で反映 |
| 結果の出力 | 同じシート内のみ | 別シート・別位置にも表示可能 |
| 再利用性 | 都度設定が必要 | 数式コピーで再利用可 |
FILTER関数を使えば、
「条件を指定して関数を入力するだけ」で、
自動的に抽出 → 常に最新データを反映できます。
この記事では、そんな便利なFILTER関数の使い方を、
基本から応用までわかりやすく解説します。
FILTER関数とは?
書式
=FILTER(配列, 条件, [抽出結果がない場合])
引数の意味
| 引数 | 内容 |
|---|---|
| 配列 | 抽出対象となる範囲(例:A2:C100) |
| 条件 | TRUE/FALSEを返す条件式(例:B2:B100=”東京”) |
| 抽出結果がない場合 | 条件に合わないときに表示する内容(任意) |
基本例
| A列(支店) | B列(売上) |
|---|---|
| 東京 | 120 |
| 名古屋 | 80 |
| 大阪 | 100 |
| 東京 | 90 |
=FILTER(A2:B5, A2:A5="東京")
→ 結果:
| 支店 | 売上 |
|---|---|
| 東京 | 120 |
| 東京 | 90 |
ポイント
- 条件に合う行だけを抽出
- 抽出結果は「動的範囲」として自動拡張(データが増えても対応)
FILTER関数のメリット
- オートフィルター不要(関数だけで抽出)
- データの増減に自動対応(動的配列対応)
- 複数条件もシンプルに書ける
これまで「IF+INDEX+SMALL」など複雑だった抽出式を
FILTER1つで置き換えられるのが最大の魅力です。
FILTER関数の応用①:複数条件で抽出
例:地域が「東京」かつ売上100以上
=FILTER(A2:C10, (A2:A10="東京")*(C2:C10>=100))
OR条件(東京または大阪)
=FILTER(A2:C10, (A2:A10="東京")+(A2:A10="大阪"))
ポイント
- AND条件:
*(掛け算) - OR条件:
+(足し算)
複数条件を組み合わせても、数式が短く読みやすいのがFILTERの魅力。
FILTER関数の応用②:別シートへの抽出
=FILTER(売上!A2:C100, 売上!A2:A100="東京")
→ 他シートのデータをリアルタイムで抽出できます。
シート間で常に最新データを反映できるため、
「集計用」「表示用」シートを自動で同期できます。
FILTER関数の応用③:抽出結果がない場合の対応
条件に一致するデータがない場合、
通常は #CALC! エラー が表示されます。
それを防ぐには第3引数を活用します👇
=FILTER(A2:C10, A2:A10="札幌", "該当なし")
→ 条件に一致しない場合、「該当なし」と表示。
FILTER関数の応用④:数値条件
| A列(商品) | B列(売上) |
|---|---|
| 商品A | 80 |
| 商品B | 120 |
| 商品C | 90 |
=FILTER(A2:B4, B2:B4>=100)
→ 売上100以上のデータのみ抽出。
FILTER関数+SORT関数で並べ替え
FILTERの結果をSORT関数に渡すことで、
抽出後の並べ替えも自動で行えます。
=SORT(FILTER(A2:C10, A2:A10="東京"), 3, -1)
→ 東京支店のデータを「売上列(3列目)」で降順に。
FILTER関数+UNIQUE関数で重複を除外
=UNIQUE(FILTER(A2:A100, B2:B100="東京"))
→ 東京支店の重複なしリストを自動生成。
Power Queryでも可能ですが、
FILTER+UNIQUEならリアルタイムで軽量に処理できます。
実務での活用シーン
- 部署別・担当者別に売上を抽出
- 指定月のデータだけを自動表示(期間抽出)
- フォームやダッシュボードで条件抽出を反映
- 特定のキーワードを含む顧客データのみ一覧化
ポイント:
FILTER関数は「元データを壊さず別表として抽出」できるため、
社内レポートや共有シートにも安全に使えます。
FILTER関数が使えない場合の代替方法
FILTER関数は Excel 2019以降/Microsoft 365 で利用可能です。
それ以前のバージョンでは、以下の方法が代替になります。
- オートフィルター(手動)
- INDEX+SMALL+IFの複合式(上級者向け)
- Power Query(自動抽出・整形)
まとめ
- FILTER関数 は条件に合うデータを一瞬で抽出できる新関数
- AND/OR条件を簡潔に書ける
- 抽出結果が自動拡張されるためメンテナンス不要
- SORT・UNIQUE関数と組み合わせると動的集計が完成
FILTER関数は「条件付き抽出」を手作業から自動化する最強ツールです。
もうオートフィルターには戻れません。
Excelの新関数を使って、
“選ぶ”作業から“自動で反映される”作業へ。
あなたのExcel作業を一段上のレベルに引き上げましょう。


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